新年や月の初めに、日記や運動、勉強を始めた。最初の日はやる気にあふれていたのに、気づけば数日でやめていた。そして「また三日坊主だ」「自分は何をやっても続かない」と落ち込んでしまう。そんな経験がある人は多いのではないでしょうか。
けれど、三日坊主は多くの人に起こることで、意志や性格の弱さだけで決まるものではありません。三日坊主のくり返しには、始めた日の計画の立て方と、やめたあとの受け止め方が関わっていると考えられます。どちらも、気合いではなく考え方で見直せる部分です。
この記事では、三日坊主になる原因とくり返してしまう理由を、始めた日からやめたあとまでの流れに沿って整理します。読み終えたら、次に始めるとき、またはやめてしまった次の日に試すことを、1つだけ選んでみてください。
この記事でわかること
- 三日坊主の意味と、なぜ三日・坊主と言うのか
- 三日坊主になる5つの原因
- 三日坊主をくり返してしまう3つの理由と、抜け出す考え方
三日坊主とは?なぜ「三日」「坊主」と言うの?
三日坊主の三日は、ちょうど3日という意味ではありません。まずは辞書をもとに、言葉の意味と由来を確認しておきましょう。
三日坊主は、わずかな間しか続かないこと
三日坊主とは、物事に飽きやすく、長続きしないこと。また、そういう人のことです[1]。江戸時代前期、1651年の俳諧にもすでに出てくる、古くからある言葉です[1]。
ここでの三日は、ほんの数日しか続かないわずかな間を表しています。明智光秀の三日天下と同じ使い方です[2]。
つまり、4日でやめたか1週間でやめたかは関係ありません。始めてすぐにやめてしまった経験があれば、誰にでも当てはまる言葉です。
坊主は、修行が続かないお坊さんのたとえとされる
坊主は、修行が続かないお坊さんのたとえとされています。ことわざの辞典では、仏門に入っても修行のつらさに耐えられず、すぐに寺を出てしまうお坊さんをたとえにした言葉、と説明されています[1]。
一方で、坊主には、いたずら坊主のように、人を親しみやからかいを込めて呼ぶ使い方もあり、三日坊主もその例として辞書に載っています[3]。もともと人をからかう響きのある言葉なので、自分に向けて使うと、必要以上に落ち込んでしまうかもしれません。
三日坊主になるのは、意志や性格が弱いから?

結論から言うと、三日坊主は意志や性格の弱さだけで起きるものではありません。三日坊主の原因としてよく挙げられる、意志の弱さ・脳のしくみ・飽きっぽい性格について、研究でわかっていることを見ていきます。
三日坊主は、多くの人に起こること
始めたことがすぐに続かなくなるのは、多くの人に起こることです。新年に目標を立てた200人を2年間追った研究では、1週間後に目標を続けていた人は77%で、2年後には19%まで減っていました[4]。
日本でも、ある企業が500人に行ったネット調査で、三日坊主で終わった経験がよくある・たまにあると答えた人は、合わせて93.6%でした[5]。
始めてすぐに挫折してしまうのは、珍しいことではないのです。三日坊主になったのは、あなたの意志が特別に弱いから、とは限りません。
脳は3日で飽きるって本当?
脳が3日で飽きるようにできている、ということを示した研究は、調べた範囲では見つかりませんでした。脳は飽きっぽいから三日坊主になる、という説明は、飽きやすさのたとえとしてはわかりやすいものです。ただ、先ほど見たように、三日坊主の三日も、ちょうど3日ではなく、わずかな間を表す言葉です[2]。
心理学には、馴化(じゅんか)という言葉があります。同じ刺激をくり返し受けると、その刺激への反応がだんだん弱くなる、いちばん単純な学習のことです[6]。最初は気になった時計の音が、しばらくすると気にならなくなるのがその例で、やる気が3日で下がることを説明したものではありません。
新しいことをすると脳がブドウ糖をたくさん使うので、脳は変化を嫌う、という説明もあります。たしかに脳は体重の約2%しかないのに、体のエネルギーの約20%を使っています。ただ、その量は心や体の活動が大きく変わってもほぼ一定で、考える作業をしても大きくは増えません[7]。
三日坊主を脳のせいだとあきらめる必要はありません。
飽きっぽい性格のせい?
性格は続けやすさと少し関係しますが、性格だけで続くかどうかが決まるわけではありません。性格と運動の関係を調べた研究をまとめた分析では、きちょうめんさ(誠実性)が高い人ほど運動をしている傾向がありましたが、その関係は小さいものでした[8]。
心理学には退屈しやすさを測る質問紙もあり、退屈しやすさには個人差があると考えられています[9]。ただ、性格はまったく変わらないものではなく、心理療法などのあとで変化することも報告されています[10]。
自分は飽きっぽいからと決めてしまう前に、始めてからやめるまでに何が起きていたのかを振り返ってみましょう。
三日坊主になる5つの原因|始めてからやめるまでに起きていること

三日坊主の原因は、始めた日・数日後・やめた日のそれぞれにあります。自分がどこでつまずきやすいかを、表で確かめてみてください。
| いつ | 原因 | 試したい工夫 |
|---|---|---|
| 始めた日 | 1. やる気が高い日に、大きな計画を立ててしまう | 疲れた日の自分でもできる大きさに縮める |
| 始めた日 | 2. 早く・たくさん・楽に変われると期待しすぎる | 目標を、何かをする形で小さく決める |
| 数日後 | 3. 始めたときのワクワクが薄れていく | 場所や時間、やる順番を少し変えてみる |
| 数日後 | 4. 手間は毎日あるのに、成果はまだ見えない | やっている最中の楽しさを足す |
| やめた日 | 5. 1日できなかったことをきっかけに、全部やめてしまう | 1日休んだだけ、と言い直す |
1. やる気が高い日に、大きな計画を立ててしまう
やる気が高い日に立てた計画は、ふだんの日の自分には大きすぎることがあります。新年や月の初め、週の始まりなどの区切りの日には、ダイエットについての検索や、ジムに行く人が増えることがわかっています[11]。何かを始める日は、やる気(モチベーション)が高まりやすい日でもあるのです。
ところが人は、今の気持ちが先の自分にも続くと考えがちです。行動経済学者のローウェンスタインらはこれを投影バイアスと呼び、ジムに入会した人が、入会したときの熱意がこの先も続くと考えて、たくさん通う計画を立ててしまう可能性を、例として挙げています[12]。
計画を立てたら、疲れて帰ってきた日の自分でもできるかを考えてみてください。できそうになければ、無理のない大きさまで縮めておきましょう。
2. 早く・たくさん・楽に変われると期待しすぎる
早く・たくさん・楽に変われると期待しすぎると、数日やってみたときの現実とのずれに、がっかりしやすくなると考えられます。心理学者のポリヴィとハーマンは、自分を変えようとする人が、どれだけ早く・どれだけたくさん・どれだけ楽に変われるか、変わったら何が良くなるかを高く見積もりすぎていると考え、これを偽りの希望症候群と呼びました[13]。
目標の決め方については、新年の目標を立てた約1,000人を1年間追った研究があります。何かをやめる形の目標より、何かをする形の目標のほうが、1年後に成功したと答えた人の割合が高い結果でした(58.9%と47.1%)[14]。この結果を参考に、「夜にお菓子を食べない」より「夜は温かいお茶を1杯飲む」のように、目標をする形で決めてみてください。期待しすぎないように、最初はふだんの自分でもできる小さな内容にしておくのがおすすめです。
3. 始めたときのワクワクが薄れていく
始めたときのワクワクは、時間とともに薄れていくことがあります。人は、うれしい変化にもだんだん慣れていき、はじめに感じた喜びは小さくなっていきます。心理学ではこれを快楽順応(かいらくじゅんのう)と呼びます[15]。始めたばかりのワクワクが薄れていくのも、こうした慣れと似た面があると考えられます。
また、女子学生80人がダイエットか勉強に取り組んだ小さな実験では、ダイエット経験の少ない人で、自分を変えようと決意した直後に良くなった気分や自分のイメージが、2週間のうちに薄れていきました[16]。
ワクワクが減ってきたと感じたら、続ける場所や時間、やる順番を少し変えてみてください。変化や新しさがあると、慣れがゆっくりになると考えられています[15]。
4. 手間は毎日あるのに、成果はまだ見えない
始めて数日は、手間だけがあって成果はまだ見えない時期です。始めたばかりの行動は、まだ習慣になっていないので、毎回やるかどうかを考えて自分を動かす必要があります。同じ行動をくり返すうちに、考えなくても体が動く習慣として定着していきます[17]。
続けるかどうかを左右していたのは、将来の成果よりも、やっている最中の楽しさだった、という研究もあります[18]。成果が見えないこの時期にやめたくなるのは、自然なことと言えます。
成果を待つ代わりに、好きな音楽を聴きながら、お気に入りの場所で、のように、やっている最中の楽しさを足してみてください。成果が出るまでの時期を乗り切るコツの一つです。
5. 1日できなかったことをきっかけに、全部やめてしまう
1日できなかったからといって、それまでの積み重ねが消えるわけではありません。習慣づくりを毎日記録した研究では、1日やらなかった日があっても、その後の習慣化にはほとんど影響しませんでした[19]。
それでも、1日できなかっただけで「もうダメだ」とすべてやめたくなるのは、0か100かで考える心のクセが働いているのかもしれません。このクセは、考え方のかたよりの一つとして知られています[20]。ダイエット中に少し食べすぎると、かえってたくさん食べてしまう、どうにでもなれ効果も、似た心の動きです[21]。
「もうダメだ」と思ったら、「1日休んだだけ」と言い直してみてください。
三日坊主をくり返してしまう3つの理由と、抜け出す考え方

三日坊主のくり返しには、やめたあとの受け止め方と、次の始め方が関わっていると考えられます。何度もくり返すと自分が情けなく感じられるかもしれませんが、それは、それだけ何度も変わろうとしてきた、ということでもあります。くり返してしまう理由ごとに、三日坊主を克服する方法として試しやすい考え方をまとめました。
| くり返してしまう理由 | 抜け出す考え方 |
|---|---|
| 1. 「やっぱり自分はダメだ」と、性格のせいにしてしまう | 性格ではなく、やめた日の場面を振り返る |
| 2. つまずきが続くうちに、自信が下がっていく | 3日できた、と数えて、続けた経験を積む |
| 3. 「次こそは」と、また大きく始めてしまう | やめた日の戻り方を、小さく先に決めておく |
1. 「やっぱり自分はダメだ」と、性格のせいにしてしまう
つまずいたときに性格のせいにすると、もう一度始める気持ちまで失われやすいと考えられています。お酒をやめる人を支える再発予防の研究では、一度だけのつまずきと、すっかり元に戻ってしまうことを分けて考えます。そして、つまずきを「自分には意志の力がない」と性格のせいにすると、やめる努力そのものをあきらめてしまいやすい、と説明されています[22]。この考え方を三日坊主に当てはめると、1回やめただけで「やっぱり自分は三日坊主だ」と結論づけてしまうことで、次に始める気持ちまでしぼんでしまうかもしれません。
抜け出すには、やめてしまった理由を、性格ではなく、その日の場面の中から探してみましょう。再発予防の考え方でも、つまずきを性格のせいにするより、あの場面への備えが足りなかった、と具体的な場面の問題として捉え直すことがすすめられています[22]。場面がわかれば、次にどうすればいいかも考えやすくなります。
試したい工夫
「自分は飽きっぽい」と考える代わりに、「残業した日は、帰ってから運動する元気がなかった」と、やめた日の場面を書き出してみてください。そのうえで「残業の日はストレッチだけにする」のように、その場面での小さなやり方を決めます。
2. つまずきが続くうちに、自信が下がっていく
つまずきをくり返すうちに自信が下がると、次のつまずきが早まることがあります。禁煙中の203人を追った研究では、2回目以降のつまずきのあと、たばこをやめ続けられるという自信が下がった人ほど、次のつまずきまでの期間が短くなっていました[23]。この研究は禁煙を対象にしたもので、運動や勉強などにも同じ結果が当てはまるとは限りません。
自分にはできるという感覚を、心理学では自己効力感と呼びます。心理学者のバンデューラは、自己効力感は、自分で実際にやってできた経験や、人がやるのを見ること、励ましの言葉、体の状態の4つから育つと考えました[24]。
抜け出すには、できなかった日ではなく、できた日に目を向けてみましょう。続けられる人も、つまずかない人ではありません。新年の目標を2年続けられた人でも、半数以上(53%)が途中で少なくとも一度はつまずいていて、つまずいた回数は平均14回でした[4]。三日坊主を、3日しか続かなかった、ではなく、3日はできた、と数え直すことが、自分でやってできた経験を積むことにつながると考えられます。
試したい工夫
カレンダーに、できた日だけ印をつけてみてください。途中で空いても、印の数は減りません。次は、前回より1日だけ長く続くことを目標にします。
3. 「次こそは」と、また大きく始めてしまう
次こそはと、前と同じ大きさの計画で始めると、また同じところでつまずきやすくなると考えられます。ポリヴィとハーマンは、失敗をくり返しても人が何度も挑戦し直すのは、失敗の受け取り方に理由があると考えています[13]。次こそはと意気込む日は、やる気が高い日でもあります。そこで前と同じ大きさの計画を立てれば、同じことがくり返されます。くり返しを止めるには、始め方と、やめたあとの受け止め方の両方を変えることが大切です。
抜け出すには、休まないことより、休んだあとに小さく早めに戻ることを大切にしましょう。1日休むだけなら影響は小さい、という先ほどの習慣づくりの研究の著者たちは、1週間分休むとその後続けにくくなった、という別の運動の研究も紹介しています[19]。戻り方は、もし〜したら〜する、の形で先に決めておくと、行動に移しやすくなります[25]。週の始まりなどの区切りの日を、戻るきっかけに使うのもよいでしょう[11]。
試したい工夫
「もし1日できなかったら、次の日は5分だけやる」と、始める前に決めておいてください。できなかった日の次の日を再開の日と決めておくと、戻るきっかけになります。
三日坊主に関するよくある質問
三日坊主に悩んでいると、ほかの人はどんなことが続かないのか、何日続ければいいのか、病気ではないのか、と気になることもあるでしょう。
三日坊主になりやすいのは、どんなこと?
三日坊主になったこととして多く挙げられるのは、運動・勉強・ダイエットです。ある企業が男女500人に行ったネット調査では、三日坊主で終わったことの1位は運動(39.4%)、2位は勉強(19.4%)、3位はダイエット(18.0%)でした[5]。国の調査でも、この1年間に運動やスポーツを週1日以上できなかった理由を複数回答で尋ねたところ、1位は面倒くさいから(38.1%)でした[26]。
運動については、ジムに入会したばかりの111人を12週間追った研究があります。この研究では、週4回以上の運動を6週間継続することが、運動の習慣ができるための最低ラインでした[27]。ダイエットや運動が続かない理由は、ダイエットが続かないのはなぜ?意志の弱さだけではない心理と行動の仕組みでも紹介しています。
三日坊主を卒業するには、何日続ければいい?
習慣になるまでの日数は人によって大きく違うため、何日続ければいいとは言い切れません。毎日の行動を12週間追った研究では、考えなくてもできる状態に近づくまでの日数は、分析のための計算式がよく当てはまった39人で、中央値66日と推定されました。推定値には、18日から254日までの大きな幅がありました[19]。66日は全員に当てはまる日数ではないので、目安の一つとして考えておきましょう。
三日坊主をくり返すのは、病気のサイン?
三日坊主は多くの人に起こることで、それだけで病気のサインというわけではありません。
ただ、子どものころから、大事な物をなくす、約束を忘れるといったことが多く、学校や仕事、家庭で困ることが続いている場合は、ADHD(注意欠如多動症)などの特性が関係していることもあります[28]。気になるときは、どこに相談すればよいかを、お住まいの市区町村の相談窓口や発達障害者支援センターに問い合わせることができます[29]。
また、以前は楽しめていたことが楽しめない、何をしてもやる気が出ない状態が2週間以上続くときは、うつ病のこともあります[30][31]。ひとりで抱えず、かかりつけ医や精神科・心療内科、保健所などに早めに相談してください[30][32]。
まとめ:三日坊主は「3日はできた」から始め直せばいい
三日坊主をくり返さないために
- 三日坊主は多くの人に起こること。意志や性格、脳のしくみだけで決まるものではない
- 始めた日の大きすぎる計画と期待、やめたあとの受け止め方が、くり返しに関わっている
- 目標は小さく、する形で。やめた日の戻り方は先に決めておく
- 続けられる人も、何度もつまずいている
三日坊主になったときは、自分を責めるより、どこでつまずいたかを振り返るきっかけにしてみてください。この記事で紹介した工夫から1つだけ選んで、次に始めるとき、またはやめてしまった次の日に試してみましょう。
続ける仕組みそのものを知りたい人は、習慣化できないのはなぜ?意志の弱さではない6つの理由と、続く仕組みの考え方もあわせて読んでみてください。
参考文献
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- コトバンク「三日」(精選版 日本国語大辞典、デジタル大辞泉)https://kotobank.jp/word/%E4%B8%89%E6%97%A5-513588
- コトバンク「坊主」(デジタル大辞泉、精選版 日本国語大辞典)https://kotobank.jp/word/%E5%9D%8A%E4%B8%BB-132201
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