「今度こそ」と思って始めたダイエットが、気づけばまた終わっている。そのたびに「自分は意志が弱い」「結局甘えている」と、自分を責めてしまう人は少なくありません。
ただ、ダイエットが続かない理由は、意志の強さだけでは説明できません。心理学の研究からは、考え方のクセや、習慣ができるまでにかかる時間など、続けにくくなる「仕組み」があることがわかってきています。
この記事では、ダイエットが続かない原因を、心と体・生活習慣の面から整理し、ダイエットを継続するためのコツを紹介します。続かなかった過去を責めるためではなく、次のやり方を見直すための材料として読んでみてください。
この記事でわかること
- ダイエットが続かないのは、本当に「意志が弱いから」なのか
- 続かなくなる6つの原因と、体・睡眠との関係
- 運動が続かない理由と、無理のない体の動かし方
- ダイエットを続けるための7つのコツ
ダイエットが続かないのは「意志が弱い」「甘え」だから?

ダイエットが続かないと、真っ先に「自分の意志が弱いせいだ」と考えてしまいがちです。けれど、心理学の研究から見ると、そう単純には言い切れません。まずは「意志が弱いから」という理由づけが本当に正しいのか、一緒に確かめてみましょう。
続かないのは、あなただけではない
何度も始めては、やめてしまう。それを繰り返すと「また同じだ」と自分に失望しやすくなります。
けれど、何度も始めてきたということは、それだけ「変わりたい」という気持ちがあるということでもあります。続かなかった回数は、あきらめずに挑戦してきた回数でもあるのです。
この記事で見ていくように、ダイエットには、心の面でも体の面でも「続けにくくなる仕組み」があります。続かないのは、あなただけがぶつかっている壁ではありません。
意志の力だけに頼る計画は崩れやすい
「自分は意志が弱いから」と思っていても、実は「意志の力には限りがある」という考え方自体、研究でははっきりしていません。
「意志の力は使うほど減っていく」という有名な説があります[1]。しかしその後、多くの研究室が参加した大規模な追試では、はっきりした効果は確認されず、今も議論が続いています[2][3]。
「意志が弱いから続かない」とは、言い切れないのです。見直したいのは、自分の意志の強さよりも、疲れた日や忙しい日があっても崩れにくい「やり方」のほうです。
ダイエットが続かない6つの原因

ダイエットが途中で止まってしまう背景には、多くの人に共通する考え方や状況があります。ここでは、ダイエットが続かない人によく見られる特徴を、代表的な6つの原因として取り上げます。先に全体を表で整理しておきます。
| 原因 | よくある考え方・状況 | 試したいコツ |
|---|---|---|
| 最初から無理な食事制限をしてしまう | 「明日から夜は食べない」「甘いものは一切禁止」 | 小さく始める/「もし〜したら、〜する」と決める |
| 「0か100か」で考えてしまう | 「1口食べたら失敗」「1日休んだら終わり」 | 崩れた日の戻り方を決める |
| 一度崩れると「もういいや」となる | 「どうせ食べたなら、もっと食べよう」 | 崩れた日の戻り方を決める |
| 結果が出るまでに時間がかかる | 「がんばったのに体重が減っていない」 | 「行動」の目標も立てる/記録をつける |
| 目標が大きすぎる・あいまい | 「1か月で5kg」「甘いものを控える」 | 小さく始める/「行動」の目標も立てる |
| ストレスや疲れで食べたくなる | 「疲れた日は、つい甘いものに手が伸びる」 | 「もし〜したら、〜する」と決める |
自分に当てはまりそうなものから読んでみてください。表の右端のコツは、記事の後半で詳しく紹介します。
最初から無理な食事制限をしてしまう
「明日から夜ごはんは抜く」「甘いものは一切食べない」。やる気があるときほど、いきなり厳しい食事制限から始めてしまいがちです。
けれど、無理な制限は体にも心にも負担がかかります。厚生労働省のe-ヘルスネットでは、食べないダイエットをすると筋肉が減って基礎代謝が落ち、かえって太りやすくなる悪循環が説明されています[4]。心理学の研究でも、ふだん食事を強く我慢している人ほど、ルールが崩れたときにかえって多く食べてしまう傾向が報告されています[5]。
最初から「食べない」を目指すより、「夕食のご飯を少し減らす」くらいの、無理なく続けられる範囲から始めるほうが、結果的に長く続けやすいと考えられます。
「0か100か」で考えてしまう
「今日は完璧にできた」か「全部ダメだった」か。物事をこのように両極端で捉える考え方は、認知療法で「0か100か思考(白黒思考)」と呼ばれ、考え方のかたよりの一つとして紹介されています[6]。
ダイエットでは、「決めたメニュー以外を1口でも食べたら失敗」「1日運動を休んだらもう終わり」と考えてしまう形で現れやすいものです。
減量した女性54人を1年間追跡した研究では、この白黒思考が強い人ほど、その後に体重が戻りやすかった(リバウンドしやすかった)と報告されています[7]。食べ物を「良い/悪い」で厳しく分ける考え方が、体重の戻りと関係していたという調査もあります[8]。ただし、どちらも規模が限られた研究で、「白黒思考があるとダイエットに失敗する」とまでは言えません。
たとえば「食べすぎた日は、次の1食を普段どおりに戻せばいい」のように、完璧にできなかった日の扱い方を先に決めておくと、0か100かの考え方に振り回されにくくなります。
一度崩れると「もういいや」となる
「今日はもうケーキを食べてしまったから、どうせならもっと食べよう」。こんな経験はないでしょうか。
心理学では、ダイエット中の人が「ルールを破ってしまった」と感じたとき、かえって多く食べてしまう現象が研究されてきました。研究者たちはこれを「どうにでもなれ効果(what-the-hell effect)」と呼んでいます[5]。
実験でも、ふだん食事を我慢している人ほど、先に高カロリーのものを口にしたあと、かえって多く食べる傾向が示されています[9]。引き金になるのは実際のカロリーよりも「禁止していたものを食べた」という受け止め方だ、とする研究もあります[5]。
誰にでも必ず起きるわけではありませんが、「1回崩れたら終わり」というルールそのものが、崩れたあとの行動を左右している可能性があります。逆に言えば、「1回崩れても、次の食事で戻せばいい」というルールにしておくことが、連鎖を防ぐ手がかりになるかもしれません。
結果が出るまでに時間がかかる
ダイエットの難しさの一つは、努力と結果のあいだに時間差があることです。今日がんばっても、体重がすぐに減るとは限りません。体重は日々の水分量などでも上下するため、がんばった日に増えていることもあります。
手応えがないまま我慢だけが続くと、「やっても意味がない」と感じやすくなり、モチベーションを保つのも難しくなります。これは意志の問題というより、「成果が見えにくい」というダイエットそのものの性質によるものです。
そんなときは、体重の数字だけでなく、「今日は間食を1回で止められた」のように、自分の行動ができたかどうかにも目を向けてみてください。数字が動かない日でも、手応えを感じやすくなります。
目標が大きすぎる・あいまい
「1か月で5kg落とす」「甘いものを控える」。こうした目標は、大きすぎたり、何をすればいいのかがあいまいだったりします。
厚生労働省の情報サイト「e-ヘルスネット」では、「控える」のようなあいまいな目標より、「ご飯は1膳まで」のように具体的な行動にしたほうが実践しやすいとしています[10]。目標の立て方しだいで、同じ努力でも続けやすさは変わります。「1か月で5kg」のような大きな目標は、「平日は1駅分歩く」のように、確実にできる小さな行動に分けてみるのがおすすめです。
ストレスや疲れで食べたくなる
仕事や人間関係で疲れた日に、つい甘いものに手が伸びる。ダイエットが途切れるきっかけとして、ストレスはよく挙げられます。「疲れて帰った日は、先に温かいお茶を1杯飲んでから食べるものを決める」のように、疲れた日の行動をあらかじめ決めておくのも1つの方法です。ストレスと食べることの関係は、別の記事で詳しく解説しています。
体の仕組みと睡眠にも「続けにくさ」がある

続かない原因は、心の側だけにあるわけではありません。ここでは、減量したときの体の変化と、睡眠との関係を見ていきます。
減量すると、体はリバウンドしやすい状態になる
食事を減らして体重が落ちると、体の側でも次のような変化が起こるとされています[11]。
- 代謝が下がる
- 減ったあとの体重では、必要なエネルギー量も少なくなる
- 食欲などに関わるホルモンが変化する
こうした変化が重なるため、減らした体重を保つのは難しい、つまりリバウンドしやすいと説明されています[11]。海外の研究では、短期間で減量したあと、減量から1年後でも、食欲に関わるホルモンや空腹感が元に戻っていなかったと報告されています[12]。
「がんばっているのに減らない」「前より空腹を感じる」と思うとき、それは気持ちの弱さではなく、体の自然な反応である可能性があります。極端な食事制限のような無理なダイエットが続きにくいのは、心だけでなく体の面からも理由があるのです。
睡眠不足の日は、食べる量が増えやすい
忙しくて睡眠時間が削られた日ほど、つい食べすぎてしまう。そんな経験はないでしょうか。
睡眠を短くした実験研究をまとめた分析では、睡眠が足りない条件のほうが、食べる量(摂取エネルギー)が増えたと報告されています[13][14]。空腹感も強くなりやすいという結果です[14]。
睡眠不足で食欲に関わるホルモンのバランスが変わる、という説明もあります[15]。ただし研究によって結果は一致しておらず、ホルモンだけで説明できるわけではないと考えられています[14]。
厚生労働省の睡眠ガイドでも、睡眠時間が極端に短いと肥満などのリスクが高まることが示されています[16]。睡眠不足が続いている状態では、ダイエットが続きにくくなる可能性があります。それは意志の弱さではなく、生活リズムの問題かもしれません。
続かないのは「習慣」になる前にやめてしまうから

ダイエットを長く続けている人が、毎日強い意志で我慢しているとは限りません。行動が「習慣」になると、モチベーション(やる気)に頼らなくても続けやすくなると考えられています[17]。ここでは、習慣ができる仕組みと、そこまでにかかる時間を見ていきます。
同じ場面でくり返すと、その場面が合図になる
歯みがきのように、考えなくても自然にできる行動があります。心理学では、こうした行動は「同じ場面で同じ行動をくり返す」ことでつくられると考えられています。くり返すうちに、その場面自体が行動の合図になり、やる気に頼らなくても体が動くようになっていきます[17]。
逆に言えば、習慣になる前の段階では、毎回「やろう」と意識して行動を起こす必要があります。ダイエットを始めたばかりの時期がつらく感じやすいのは、このためだと考えられます。
習慣になるまでには時間がかかる
では、習慣になるまでにはどのくらいかかるのでしょうか。
イギリスで行われた研究では、参加者が食べる・飲む・運動に関わる行動を1つ選び、「朝食後に」など毎日同じ場面でくり返しました。わかったことを整理すると、次のとおりです[18]。
- 考えずにできるようになるまでの日数は、中央値で66日だった(変化の様子を十分に分析できた39人の結果)
- ただし18日から254日まで、人によって大きな差があった
- 1日やらなかった程度では、習慣づくりへの影響はほとんど見られなかった
数日で「続かない」と判断するのは早すぎるかもしれません。そして、1日休んでも、それまでの積み重ねが無駄になるわけではありません。
三日坊主は誰にでも起こる
始めてすぐにやめてしまう「三日坊主」は、習慣になる前の段階でのつまずきだと言えます。三日坊主になる理由や、そこから立て直す考え方は、別の記事でまとめています。
運動が続かないのはなぜ?無理なく体を動かす考え方
「ダイエットのために運動を始めたけれど、続かなかった」という人も多いのではないでしょうか。スポーツ庁の調査では、運動の習慣(1日30分以上・週2日以上)を続けられなかった理由として、「仕事が忙しいから」(34.0%)、「面倒くさいから」(30.8%)が上位に挙がっています[19]。ここでは、運動が続きにくくなる理由と、無理なく体を動かす考え方を紹介します。
きつい運動ほど、続きにくい
「どうせやるなら」と、いきなりハードな運動を選んでいないでしょうか。
研究をまとめたレビューでは、運動の強さが一定以上に上がると、運動中に感じる「気持ちよさ」が下がりやすいことが報告されています[20]。また、運動中の気分が良いことが、その後も体を動かすことと関係していたというレビューもあります[21]。
最初から「きつい運動」を自分に課すより、自分で心地よいと感じる強さから始めるほうが、続けやすさの面では理にかなっていると考えられます。
「楽しい」「自分で選んだ」運動は続きやすい
運動の動機づけに関する研究をまとめたレビューでは、「やらなければ」と義務で取り組むより、「自分で選んだ」「楽しい」と感じて取り組むほうが、運動の実施と結びつきやすいと報告されています。特に、楽しさのような内側から湧く動機は、長く続くことと関係する傾向がありました[22](多くは観察研究です)。
e-ヘルスネットでも、運動を続けにくくする要因への対策として、楽しくできる運動を探すことや、日常生活に組み込むことが挙げられています[23]。ジムでの筋トレが合う人もいれば、散歩やダンス、家での体操が合う人もいます。「痩せるために一番効く運動」より、「自分が続けられそうな運動」を選んでみてください。
運動だけで痩せようとしなくていい
運動を始めると、「これだけ動いたのに体重が減らない」とがっかりしてしまうことがあります。
研究をまとめたレビューでは、運動だけで減る体重は比較的小さく、食事の見直しと組み合わせたほうが減量の効果が大きい傾向が報告されています。一方で、体重があまり変わらなくても、血圧や中性脂肪などは改善したとされています[24]。厚生労働省の運動ガイドでも、減量やその維持には、運動だけでなく食事も含めた生活習慣への注意が必要だとしています[25]。
運動は「痩せるための手段」だけでなく、体の調子を整えるための習慣と考えると、体重の数字に振り回されにくくなります。
まずは「10分」から、生活の中で体を動かす
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、成人の目安として次のような量が示されています[26]。
- 歩行またはそれと同等以上の強さの身体活動を、1日60分以上(1日約8,000歩以上に相当)
- 息が弾み汗をかく程度の運動を、週60分以上
- 筋力トレーニングを週2〜3日
ただし、これらは「あくまで目安」とされ、個人差をふまえて、できることから取り組むことが基本とされています[26]。体を動かす時間には、家事や通勤、買い物など生活の中の動きも含まれます。「20分以上続けないと効果がない」といった最低限の時間もなく、短い時間の積み重ねでも効果があるとされています[26]。
一般向けの「アクティブガイド2023」では、まず「体を動かす時間を10分増やし、座りっぱなしの時間を10分減らす」ことから始めようと呼びかけています[27]。エレベーターの代わりに階段を使う、ひと駅分歩く、といった小さな動きからで十分です。
心理学から考える、ダイエットを続ける7つのコツ

ここからは、これまでの原因をふまえて、ダイエットを継続しやすくするためのコツを紹介します。全部を一度に取り入れる必要はありません。できそうなものを1つ選んで試してみてください。
| コツ | 具体例 | こんな人に |
|---|---|---|
| 「行動」の目標も立てる | 「夕食後の間食は1回まで」 | 体重の増減で気持ちが揺れやすい人 |
| 「もし〜したら、〜する」と決める | 「夕方お腹が空いたら、ナッツをひとつかみ」 | 流されやすい場面がわかっている人 |
| 小さく始める | 「平日は1駅分歩く」 | 大きな計画を立てては挫折してきた人 |
| 環境を整える | 「お菓子を目につく場所に置かない」 | その場で我慢するのが苦手な人 |
| 記録をつける | 「体重だけ毎朝メモする」 | 変化が見えずにモチベーションが下がりやすい人 |
| 睡眠時間を確保する | 「平日も休日も、起きる時間をそろえる」 | 夜ふかしの翌日に食べすぎやすい人 |
| 崩れた日の戻り方を決める | 「食べすぎた日は、次の1食を普段どおりに」 | 1回の失敗で全部やめてしまう人 |
体重だけでなく「行動」の目標も立てる
体重は、日々の水分量などでも上下します。目標を「○kg減」だけにすると、がんばっても数字に表れない日に気持ちが折れやすくなります。
そこで、体重の目標に加えて、「夕食後の間食は1回まで」「平日は1駅分歩く」のような行動の目標も立てておくのがおすすめです。行動の目標なら、毎日「できた・できなかった」を自分で確かめられます。
肥満の成人を対象にした研究をまとめた分析でも、行動の目標を立てることと、その記録をつけることが、効果と結びついていたと報告されています[28]。
「もし〜したら、〜する」と決めておく
あらかじめ「状況」と「行動」をセットで決めておく方法を、心理学では「実行意図(if-thenプランニング)」と呼びます。たとえば、次のような決め方です。
- もし夕方にお腹が空いたら、ナッツをひとつかみ食べる
- もし帰りにコンビニに寄ったら、飲み物だけ買う
- もし夕食後に何か食べたくなったら、先に温かいお茶を1杯飲む
多くの研究をまとめた分析では、実行意図は目標の達成を後押しすると報告されています[29]。食事に関する研究のまとめでは、「お菓子をやめる」のように減らす行動よりも、「野菜を1品足す」のように取り入れる行動を決めたときのほうが、効果の大きさが上回っていました[30]。
「やめる」ことから始めるより、「足す」ことから始めるほうが、うまくいきやすいかもしれません。
最初はかなり小さく始める
やる気があるときほど、「毎日1時間走る」「炭水化物を抜く」のような大きな計画を立てがちです。しかし、大きな変化ほど、続けるハードルは上がります。
習慣づくりの研究では、小さく取り組みやすい行動ほど習慣になりやすく、自信にもつながると考えられています[17]。e-ヘルスネットでも、小さな一歩から始め、できない日があっても数日単位で調整する柔軟さが大切だとされています[10]。
ただし、研究をまとめた分析では、小さな変化の積み重ねは「体重を増やさない」ことには一定の効果が見られた一方で、それだけで大きく減量できるとまでは言えない、という結果でした[31]。小さく始めるのは、すぐに痩せるためではなく、やめずに続けるための土台づくりだと考えるのがよいでしょう。
環境を整えて、我慢する場面を減らす
習慣は、「この場所・この時間ならこうする」という場面と結びついています。ある研究では、映画館でいつもポップコーンを食べている人は、湿気たポップコーンでも同じくらい食べていました。ただしそれは、映画館という「いつもの場面」にいるときだけでした[32]。
そのため、毎回その場で我慢するよりも、行動のきっかけになる場面そのものを変えるほうが、負担は少なくて済みます。たとえば、次のような工夫です。
- お菓子を目につく場所に置かない
- 買い置きを減らす
- 小さめの器に盛る
器や盛り付けの量が大きいと食べる量が増えやすいことは、多くの研究をまとめたレビューで報告されています[33]。ただしこれは主に短期間の食べる量についての結果で、長期的な体重への影響まではわかっていません。
記録をつけて、変化を見える化する
食べたものや体重を記録することは「セルフモニタリング」と呼ばれます。研究をまとめた分析では、記録をつけることと減量のあいだに、一貫した関連があると報告されています[34]。e-ヘルスネットでも、食事を記録すると自分の食べ方の傾向に気づきやすくなるとして、記録がすすめられています[10]。
ただし、記録は完璧でなくてかまいません。書き忘れた日があっても、「0か100か」で考えずに、次の食事からまた再開すれば十分です。記録そのものが負担になるなら、体重だけ、夕食だけ、など範囲を絞ってもよいでしょう。
睡眠時間を確保して、生活リズムを整える
睡眠不足の日は食べる量が増えやすいことをふまえると、食事や運動と同じくらい、睡眠もダイエットを続けるための土台と言えます。
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、成人は個人差があるものの、6時間以上を目安に必要な睡眠時間を確保することがすすめられています。休日の寝だめでは、睡眠不足は取り戻せないとされています[16]。
眠りやすくするための生活の工夫としては、次のようなことが挙げられています[16][35]。
- 毎朝、起きる時間をそろえる
- 朝食をとり、寝る直前の夜食は控える
- 日中に体を動かす
- 夕方以降はカフェインを控えめにする
- 寝室にスマホを持ち込まない
眠れない悩みが続く場合は、一人で抱え込まずに、医療機関などの専門家に相談することもすすめられています[35]。
崩れた日の「戻り方」を先に決めておく
どんなに工夫しても、予定どおりにいかない日はあります。大切なのは、崩れないことより、崩れたあとにどう戻るかです。
女子大学生を対象にした実験では、ふだん食事を強く制限しがちな人がドーナツを食べたあとに「誰にでもあること。自分を責めすぎなくていい」という考え方を促されると、落ち込みがやわらぎ、その後に食べる量も抑えられたと報告されています[36]。対象が限られた1回の実験ではありますが、自分への思いやり(セルフ・コンパッション)と食行動の関係は、その後の研究でも注目されています[37]。
「食べすぎた日は、次の1食を普段どおりに戻す」のように、戻り方をあらかじめ決めておくと、「どうにでもなれ」の連鎖を断ち切りやすくなります。
一人で抱え込まず、相談したほうがよいとき
ダイエットのつもりで始めたことが、心や体に大きな負担をかけている場合もあります。国立精神・神経医療研究センターの摂食障害全国支援センターでは、次のようなサインを挙げています[38]。
この一覧は、診断のためのものではありません。こうしたサインに心当たりがある場合は、一人で抱え込まずに、心療内科や精神科、小児科に相談することがすすめられています[38]。どこに相談すればよいかわからないときは、次の窓口も利用できます[39][40]。
- 摂食障害 相談ほっとライン:本人だけでなく、家族や周囲の人も相談できる電話窓口です。受付日時は公式サイトで確認してください[40]
- 精神保健福祉センター・保健所:受診先についての相談ができます[39][41]
「こんなことで相談していいのかな」と迷う段階でも、相談してかまいません。
まとめ:続かないのは「性格」ではなく「仕組み」の問題として見直せる
ダイエットが続かない原因は、意志の弱さや甘えだけではありません。
- 無理な食事制限や、「0か100か」「一度崩れたらもういいや」となる心の動き
- 結果が見えるまでの時間差や、あいまいな目標
- 減量に対する体の自然な反応(リバウンドのしやすさ)や、睡眠不足
- 習慣になるまでに時間がかかること
- きつすぎる運動や、運動だけで痩せようとする考え方
こうした仕組みがあることを知っておくと、「また続かなかった」ときにも、自分を責める代わりに「どこを変えればいいか」を考えられるようになります。
まずは、この記事で紹介したコツから1つだけ選んで試してみてください。1日できなかったとしても、そこで終わりではありません。
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- 国立精神・神経医療研究センター 摂食障害全国支援センター 摂食障害情報ポータルサイト「摂食障害のサイン」https://edcenter.ncnp.go.jp/edportal_general/about/about_sign.html
- 同「診療連携・相談窓口」https://edcenter.ncnp.go.jp/edportal_general/consultation.html
- 摂食障害 相談ほっとライン https://sessyoku-hotline.jp/
- 厚生労働省「こころもメンテしよう」身近にある地域の相談窓口 https://www.mhlw.go.jp/kokoro/youth/consultation/window/window_01.html

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